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過去3年の寒河江市の類団カード

今議員ではない私が言うのもなんですが、以前の経験でわかったことは、議員の仕事は大きく言うとたった一つだけ。
それは「表決」すること。(あくまでも議員の役目。議会の役目は議決)
案件に対する賛成・反対の意思表示をする事です。

いや、もっと、いろいろとありますよ。
でも議員の仕事って何?と聞かれたら、表決すること(それを議会でまとめて議決)。
これが議員の権限であり、その表決をするために議会などの会議に出席することが最低限の義務であります。

一例として具体的に言えば、議会に出席して市長から上程された議案の審議。
その審議の中でチェックし、疑問点や問題点などを質問し、最終的に表決する。
また、正しい表決をするために、自分で調査したり、常日頃市民の方から問題や意見を聞く事も必要です。

市長からの提案で最も重要な案件・表決するのが最も重要な案件が「予算」「決算」です。
市を大きな会社に見立てると、市長が社長、市役所の職員が社員、市民が株主、市議会議員は外部監査委員(説明がめんどくさいので省略しますが、議員は市長とは別に選挙で選ばれる二元代表制のため、内部ではなく「外部監査委員」という表現が最も適していると思う。ただし、監査委員というのは市役所におりますので、ここでの表現は一般的な会社で言うと、という意味)という感じではないでしょうか。

予算・決算は数字で表されます。
数字は人それぞれの感性に関係ない、共通の言語です。
しっかりと読み解いて、表決の材料にしなければなりません。
通常の会社なら(市役所同様、年度が4月スタートの場合)3月末日に決算をし、資料を作って4月〜5月ぐらいに総会を開いて公表し新年度の運営にあたると思うのですが、寒河江市の場合、9月に決算議会(自治体によりもっと遅いところもある)が行われます。
企業であれば「同業他社との比較」を行いますが、自治体の場合は「類似団体比較カード」というのがあります。
これは似たような規模・産業構造の自治体の数字(決算)を平均し、それと比べてどうなのかを数字で把握することが出来ます。※以下類似団体を類団と表記。
ちなみに、寒河江市は市町村類型「I-0」(人口50,000人以下、第二次産業・第三次産業への就業人口が95%未満でなおかつ第三次産業への就業人口が55%未満)。政令指定都市や特別区、中核市、特例市を除く全国670市のなかで、I-0は62あり、県内では寒河江市の他には村山市、長井市、東根市、尾花沢市、近県では青森県つがる市、岩手県遠野市、宮城県角田市、秋田県にかほ市、福島県田村市、新潟県魚沼市等があります。
上述の通り決算の資料が出てくるのに時間がかかるため(しかも全ての自治体がなので)だいたい1年遅れぐらいでこういった資料は公表されます。
そんな訳で最新の類団カードは平成26年度決算のものになりますが、寒河江市の財政状況などを他市比較という切り口で少し見てみたいと思います(やっと本題)。
ただしここに記載することはあくまでも私見でありますので、(数字は公表されておりますが)市の公式見解ではないことをご理解下さい。

まずは分析。
●収入(歳入)から。自前の経済の強さが表れる「地方税」の割合が歳入のトップ(でも31.6%なので、いわゆる三割自治と揶揄されるレベル)。構成比は類団より10%程度高い(過去5年を見てもほぼ同じ数字で推移)。
●財政力指数(財政力を表す一つの指標。直近3年の平均値なので急激に上下しない)は過去3年で0.49→0.5→0.51と移行。さらに6年さかのぼると0.53→0.55→0.55→0.54→0.52→0.50なので、財政力は横ばい(若干回復)傾向にある。
ちなみに県内で最も財政力指数が高いのは山形市で0.72。次が天童市で、東根市、米沢市ときて5位に寒河江市。
●次に支出(歳出)の方。歳出状況を見ると、扶助費(児童・高齢者・障害者・生活困窮者等への支援に要する経費)の割合が高い。詳しい内容は手元に詳細の決算資料が無いために残念ながらわからない。
●また公債費の割合も高いが、元利償還金の元金へ歳出している割合が類団に比べて高いので、積極的に地方債残高の低減を進めていると推測。
●義務的経費(経費の内容が義務的で、任意では下げられない経費。人件費、公債費、扶助費を総合して言う。この割合が高いと予算に自由度がなくなるため、低い方がいいとされる)への割合が高い。しかし上記2点が主な理由なので、聖域化してはいけないが、一概に割合をもっと下げた方がいいとは言い切れない(このままの状態で下げるとなると、社会的弱者切り捨て、借金返済後回しになる)。
●繰出金が多い。主に市立病院への赤字補填が原因と考えられる。しかし今年度からは全部適用(これまでは地方公営企業法のうち財務規定のみの一部適用で運営。管理者に組織、人事、予算原案の作成など経営に関する権限を集中させるので、柔軟性・機動性が高くなる。近年、赤字に悩む多くの自治体病院が同法全部適用に移行している)に移行したので、注視していく必要がある。
●積立金(家計で言う貯金)が類団に比べて極端に少ない。これは議員時代何度も指摘。庁舎をはじめハコモノの立て替え・大型補修の時期がまもなくやってくるが、その対応をどうするのか?(今年度の予算で、やっと市有施設整備基金積立金に1億を計上した)
●投資的経費が低い。いわゆるハコモノや道路にお金をかけていない。特別な災害復旧もなかった(普通建設事業費も災害復旧事業費も低い)
まだまだいろいろと見ていくことができますが、まずはこんなところでしょうか。

課題点としては(この辺は昨年3月議会で一般質問した内容とダブりますが)
●どんどん返済しているとは言え、歳出合計に占める公債費比率が類団から見て高い。財政の改善に急を要する。
●しかし財政を改善するにしても、何をどのように改善すべきか、現在の財政状況に関する公表情報だけでは十分に検討を行うことが難しい。
●市の発展のため施設の建設や事務事業を行う必要があるが、義務的経費の歳出割合が類団よりも高い状況なので、財政的な自由度は少ない。
●義務的経費の割合が高い・・・つまり地方債を返済しつつ、少子高齢化に伴う扶助費をねん出した上で、経済発展のための公共事業の拡充をする。つまりは攻めと守りの両方をしなくてはならないので、事務事業をより一層取捨選択しなくてはならない。
●しかしそれを判断するための財務諸表(特に貸借対照表)等がないと財務状況が明確にわからないが、それらの書類がない(あるかも知れないが、公表されていない。公表されている最新の貸借対照表等の財務諸表は、平成20年のもの)
●上記を踏まえ、市の財政状況を的確に知るため、今般総務省から要請されている新地方公会計への速やかな移行が必要・・・28年度決算分より公会計制度を導入した財務諸表を作成する予定とのこと。

あと個人的な意見というか、こういう財政を見る上での大きな問題点がありまして
●財政状況をwebなどで公開していない。
現在寒河江市のサイトで公開されているのは、3月議会に上程される次年度の一般会計当初予算案のみ。決算関係資料については市報への掲載のみとなっています。
例えばお隣の天童市では、当初予算案以外にも、補正予算、決算報告、決算カード、類似団体比較カード、財政状況資料集、財務諸表まで、ありとあらゆる資料が公式サイトにて公開されています。
今回メインとして使った類団カードや決算カード、財政状況資料等は公的な資料であり、私は総務省や県のサイト等から入手しました。
市が総務省や県に報告しているのであるハズなんです。やろうと思えば公開できるハズなんです。
上述の資料は表に出している資料(じゃなかったら、県や総務省のサイトから入手できない)です。今年度から財務諸表も作成する予定とのことなので、こういった資料も一緒に市のサイトに掲載して頂きたいなと思います。

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