DSC_4219

講師の木下斉さん

先日のブログでも書きましたが、7/8に仙台で行われた「狂犬ツアー@仙台 稼ぐまちが地方を変える」に参加してきました。
講師の木下斉(きのした ひとし)さんは、地方再生人、内閣官房地域活性化伝道師です。
1998年早稲田大学高等学院入学、在学中の2000年に全国商店街合同出資会社の社長就任。2005年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業の後、一橋大学大学院商学研究科修士課程へ進学、在学中に経済産業研究所、東京財団などで地域政策系の調査研究業務に従事。2007年より熊本城東マネジメント株式会社を皮切りに、全国各地でまち会社へ投資、設立支援を行ってきた。2009年、全国のまち会社による事業連携・政策立案組織である一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立、代表理事就任。内閣官房地域活性化伝道師や各種政府委員も務めており、人生の半分を地方再生・活性化に取り組んできたという人です。
さてそのトークツアーの内容ですが、聞きながら文字を打ち込んだので、読んでよくわからない部分もあると思いますが、個人的な備忘録でもありますので、キーワード的に見て頂ければと思います。

再開発失敗例:青森アウガ、アルネ津山、国が力を入れたモデル事例は、数年後の失敗事例になっている。
担当者(議決した議員を含め)財務諸表を見ていない、読めないのではないだろうか?
高層ビルを建ててのシャワー効果はない。今の時代、人は目的もないのにウロウロしない。目的があったら車で買いに行く。
若者が「地元が好き」と言っても、地元を取り仕切る上の大人が嫌いなら出て行く。
再開発は、いくら投資していくら儲かるか、つまりは結果としてその地域の税収が上がるかである。
昔は商店街がつぶれる事もなく景気も良かったのは、計画が良かったわけではなく、マクロが良かったである。
区画整理をしたら人がいなくなるという本末転倒。減少時代に対応した区画整理なら地価は上がるが、ただ単に道路を切りました、整備しましただけでは地価は下がる。
成功事例として流布しているモノには、謝っているモノもある。それを聞いたとき・見たときに、本当にそうなのか?としっかりと調べて考える必要がある。結局区画整理して見た目は良くなっても、空き店舗だらけという事例がゴロゴロしている。重要なのは見た目では無い。
海士町は税金を投入し(しかも自前の税収だけではなく)、大盤振る舞いしている部分は多々ある。だからできることがある。過疎や辺地ではない紫波町とはまったく違う。
ハコモノなどを作る時は、国の補助等の税金を投入しても、維持はその地方の財政によって行われる。
中心市街地に立派な美しい公共施設ができても、何も生まない。中心市街地という価値ある場所が、お金を生まない場所に使っている。
建設費×4〜5倍がライフサイクルコストとしてかかる。
建てる時にいくら国から補助がくる→そんなことやって繁栄する場所はない。国がくれるお金に踊らされない。

ワークショップやフューチャーセッションを導入して、活性化に取り組んでいる地方がある。しかしそれでは会議の方法ばかりが巧みになるだけで、実際には動いているのか?その会議を行う事にお金を使う(補助をしている・事業として行政が行っている)のならば、最低限集まった人の時給を計算して、それ以上の効果は出ているのかを検証しなくてはならない。
補助金依存→結局何のためにやっているのかわからなくなる。結局補助金をもらったつもりで、自分達の長期負担の方が多い。やりたいのは補助金をもらうこと?それとも自分達の地域で稼ぐこと?どっちなのか。

まち・地域は官民一蓮托生。
社会の礎は民の稼ぎ。民の稼ぎを超えた財政は破綻を導く。
利益→地域に留保→資金調達→投資→利益・・・
ここからは民、ここからは官なんてことやっている場合ではない。民が稼げるように、行政は動く必要がある。
将来の為のお金を残してやっととんとん。100稼いで100使うではダメ。

稼ぐまちが地方を変える 〜誰も言わなかった10の鉄則〜
オススメ書籍「失敗の本質」。旧日本軍の先の大戦前後において行った戦闘、具体的には、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦に関する分析を行っている。失敗はいつの時もある。しかし重要なのは失敗と向き合い、「なぜ失敗したのか」ということを学ばなくては、失敗は繰り返される。
施設開発は短期決戦ではなく、長期作戦が求められる。しかしドカンと開発し、運営費が賄えずに破綻するが、「廃墟にはできない」と税金を用いて「戦略なき戦力の逐次投入」してしまう。「ガダルカナル作戦」同様、戦力をチビチビ投入して失敗する。血税を無駄にする。同じ轍を踏んではいけない。
指定管理者に払うお金を、その施設周辺で稼ぐぐらいじゃないといけない。
武雄市のようにりっぱな集客能力のある図書館を建てる自治体→図書館に人が来たらそこで儲ける。
民間が活躍できる施設を作る、それが行政の仕事。

大阪府枚方市の事例。経費を負担してあげても、そもそも経費を負担しなくてはいけないような儲からない店では活性化しない。
何が流行るのか?なにが売れていくのか?そのセンスは審査委員会ではわからない。事業審査では判別つかない。
だから小さく始めてみる。

結果を真似ずに、プロセスを真似る。プロセスは絶対に省略してはいけない
国際会議場作ったら、会議がくる・・・わけがない。サテライトオフィスをつくったら、サテライトオフィスがくる・・・わけがない。
公園の利活用→公園の中の飲食店で運営費を稼ぐ等
お金がなくなったらその場所で何もやらない、ではなく、民間で活用してもらって稼いでもらう。
指定管理ではなく、民間活用。
ファシリティマネジメントにメスを入れる
何万人が来ました、は意味がない。
何万人が来て、その場所でいくらつかって、どれぐらいの利益が出たのか、が重要。
PFIで儲けられる部分がコンサルに行くだけだから、PFIコンサルを入れずに職員がやる。
公共施設から自治体へ資金が流れる三つ子黒字

今は悪いが、今からもっと悪くなる。だから今のうちに稼げる仕組みを作る必要がある。
民間は役所に依存しない。国からお金を引っ張って役所にもらうのが民間の仕事ではない。
計画から開発して仕様を作るのではない。どうやったら家賃を稼げて、ぜいきんをおさめられるか?を考える。
これまでと違い、小さなリノベーションも、大きなリノベーションも、すべて逆算。矢印の向きが違う。
開発前に、投資回収期待期間の家賃合計 ー [開発予算(用地取得費+建設費)+投資回収期待期間の維持管理費合計] = 収支が黒字ではじめて着工。

地域活性化の為に何をやるのか?はどうでもいい。
その地域は何が得意なのか?何で稼げるのか?
自分から始める、ロジックを守る打ち手。
活動ではなく事業。

二宮金次郎の報徳記。
報徳記 巻之五
【7】先生小田原の大夫某と飢歳当然の道を論ず
申(さる)の凶荒(きようくわう)に当(あた)り、救荒(きうくわう)の道を命ぜられ小田原に至れり。
時に大夫(たいふ)某(それ)先生に問て曰く、
年飢ゑて民を救うの道を得ず。
此の時に当(あた)り何の術を以て飢渇の民を救ひ之を安(やす)んぜんや。
先生曰く、
礼(れい)に云(いわ)く
国(くに)九年の蓄(たくわ)へ無きを不足と曰ひ 六年の蓄(たくわ)へ無きを急と曰ひ 三年の蓄(たくわ)へ無きを国(くに)其(その)国(くに)に非ずと曰ふ
夫(そ)れ歳入の四分が一を余(あま)し之を蓄(たくわ)へ、水旱(すゐくわん)荒年(くわうねん)盗賊衰乱(すゐらん)の非常に充(あ)つるもの、聖人の制(せい)にあらずや。
事予(あらかじ)めする時は救荒(きうくわう)の道何ぞ憂ふる事之あらん。
然るに僅(わづか)一年の飢饉至り救荒(きうくわう)の道なしとは何ぞや。
是の如くにして国君(こくくん)の任何(いづ)れにかある。
大夫(たいふ)執政(しつせい)の任何を以て其任とするや。

先生小田原の大夫某と飢歳当然の道を論ず
天保7年(1836)の大飢饉に当って、先生は救助の道を命ぜられ(翌年)小田原に来た。
その時にある家老が先生に質問して言った。
「飢饉の年に民を救う道を得ない。
この時に当ってどういう方法で飢えた民を救い、これを安らかにすることができるか。」
先生は言われた。
「礼経に言います。
『国に9年の蓄えが無いことを不足といい、6年の蓄えの無いことを急といい、3年の蓄えの無いことを国、その国にあらず』と言います。
そもそも歳入の4分の1を余らせこれを蓄え、水害や日照りなどの荒年や盗賊・衰乱の非常に充てることが、聖人が制定されたことではありませんか。
予めそのようにする時には救助の道をどうして憂える事がありましょう。
そうであるにわずか1年の飢饉が来て救助の道がないとはどうしたことでしょう。
このようにして国君の任務はどこにありましょう。
家老の政治を執る任務をどうして務めたといえましょうか。」

細い土地でも取れる半分で生活して半分を蓄えればどんな土地でも飢饉にならない。
道徳を忘れた経済は、罪悪である。
経済を忘れた道徳は、寝言である。(二宮尊徳 二宮金次郎)

変わる気がない→余裕がある。やる気がない人をやる気にさせることができない。
公共資産を稼ぐインフラにしよう。

成功事例 春日井市勝川 空き店舗異業種シェア
米子の商店街はシャッター商店街の見本とも言えるところだったが、ハイブリッド経営(ネットと半々で売上を上げる)で成果を上げる店が出た。
商圏構造がネットを含めて変わっている。成功は市場のみが知っている

世の中は複利計算で回っている。
先出しして立派な施設を作って回らなくなる。
粗利構造。
然るべき原因があり、然るべき結果がある。人情でどうにかなる訳がない。『わかっているけど・・・』は後世にツケを回すだけ。その意識がない。それぐらい深刻なのに、やれない。
納税者団体を作る。過去の失敗をした首長・議員・課長などを訴訟する(海外)。責任を取る。『そうは言ってもしょうがない』という市民の意識ではいけない。

いいね!・フォローで応援宜しくお願いします。