以前のブログで「ふるさと納税の今のシステムには問題があるよね」と書いたところ、「後藤さんのご意見と似た特集の雑誌を発見しました!」と教えて頂いたのがこの「中央公論 3月号」。
「ふるさと納税の本末転倒」という特集の部分しかまだ読んでおりませんが、確かに私の意見と同じような部分が多く、これまで思っていた事が数字などにより、より鮮明になりました。
今地方創生と関連した感じで「ふるさと納税」が出てきていますが、発生時は地方創生とは別です。
ご存じのように都市部に人口が集中しているのですが、その多くの人は地方出身。地方の自治体から教育や医療等々、税金を使って様々な住民サービスを受けて育ったのに、進学や就職を機に都市部に移動。納税するのは生まれ育った(税金を使って育ててくれた)地方ではなく都市部になってしまう。だと、言葉は悪いのですが、地方の育て損みたいな感じになっているので、今は都市部に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、納税できる制度があっても良いのではないか?という事から生まれたのがふるさと納税です。
このように、元々が都市部から地方への税金の移動を目的としているものですので、「ふるさと納税を元に、学校給食を4年間かけて無償にしていく(子供達を育てる税金として使う)」という寒河江市の取り組みは、本来の形に沿ったものと言えるかも知れませんね。
さて問題はいくつかあり、前回のブログともかぶる部分があるのですが、私自身の為にも、私が考えている問題点を整理させて頂きながら書いていきたいと思います。
まず「ふるさとでなくても、自由に納税できる」という部分。
寒河江市に住んでいる人が、東京のどこかの区に納税しても問題はありません。税収が豊かである不交付団体(原発のある地域や大企業がある都市など、地方交付金をもらっていない自治体)に、赤字の自治体に住んでいる住民がふるさと納税しても、もちろん問題ありません。
寒河江市は全国1741自治体のうち、損得で言えば第18位というふるさと納税で成功している地域です(以下の数字は2015年の結果より)。約13億7千万円の寄付がありましたが、控除は472万円(寒河江市以外に行った分)ありました。誰がどこにしても自由なので、必ずしも本来の目的である「都市部から地方への税の移動」ではないのです。また、525の自治体がこの制度により赤字になっていますが、取り分け問題なのが過疎市町村でさえも22の自治体が赤字になっていることでしょう。
また「普通に税金納めても何ももらえない。ふるさと納税をすると何かもらえる」と、良識が奪われてしまうのではないか?という危惧も私はあります。
また、前のブログでも書きましたが「返礼品競争になっている・お取り寄せ感覚になっている部分がある」ということ。
当初はふるさと納税をしてもらえるのは「お礼の気持ち」のようなものでした。しかしながら競争が始まりルールも変わり(詳しい事は以前のブログを)、ふるさと納税は爆発的に伸びましたが、寄付金額に対する返礼品の価格割合も多くなり、現在は約半分が返礼品および経費で使われています。
今回の中央公論には損得で第1位の宮崎県都城市の市長のインタビューが掲載されておりましたが、なんと返礼品の価格は7割と答えていました。現在この還元率については規制がありませんので、過度な競争によりもっと上がる可能性もあります。7割は別としても、ふるさと納税の返礼はこれまで「記念品」的なものだったのが、どんどん税金が出て行くので豪華な返礼品を揃えたという話しも耳にします。本来使われる税金の半分が返礼品として自治体に買い取られるため、地場産業の活性化という側面はもちろんありますが、公共事業的な感じもします。しかも公共事業とは違って、地元に形は残らないものに使われるのですから(形はふるさと納税した人のところへ行く)。
また高額所得者ほど控除が大きいので、それこそお取り寄せ感覚でいろんな所から・・・(ちょっとこれ以上は長くなりすぎるので割愛)。

前にも書いたとおりですが、けして私はふるさと納税を批判している訳ではありません。今のルールの中で、職員さんや市長が頑張って集めている自治体もありますし、誰にとっても100%の制度なんてないと思っていますし。ただ現行のルール・システムでは当初予想していなかった問題が、だんだん出てきているのでは?と思っております。
総務省が今後のふるさと納税に関して、規制やルールの変更がそろそろ出るとwebかなんかのニュースで読みましたので、たぶん返礼品の還元率が決まるとか、選べる場所がある程度制約されるとか、なんかそんな感じのマイナーチェンジがあるんじゃないでしょうかね?

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