記事を読んで少しでも山形を身近に感じて頂ければと、月一で書かせて頂いている「やまがた未来ラボ」のコラム。
今回は「中華そば(ラーメン)」について、自分の考えを書かせて頂きました。
以下、やまがた未来ラボに寄稿した記事です。

誰もがお手軽に楽しめるお値段で、ランチでも晩ご飯でも、はたまた場所によっては「朝ラー」なんていうのがあるから朝も?と、時間を選ばずに味わえる「ラーメン」。

発祥は中国ながらも日本で進化を遂げ、中国からも日本に食べに来るほどという、今や日本食となったラーメンは、特にこれからの時期、体が暖まるしいいですよね〜。


「日本で一番ラーメンが好きなのは山形県」

人気があるためにテレビ番組やネットなどでもちょいちょい取り上げられますが、その際によく出てくるフレーズが「日本で一番ラーメンが好きなのは山形県」。これは総務省が毎年行っている「家計調査」を元にしているデータです。

家計調査というのは都道府県庁所在市(例えば山形県なら山形市)の1世帯あたりの様々な項目の支出金額等を調査している数字(過去3年間を平均するので、2011〜2013年の平均値)です。
その中の「年間1世帯当たりの中華そば(外食)の支出金額」という項目で、山形市の平均が12,077円で第1位。ちなみに全国平均は5,492円なので、全国平均の2倍以上外食として中華そばにお金をかけている事になります。

また、2012年のタウンページには23,257件ラーメン店が登録されていますが、山形県は人口10万人当たりのラーメン店件数が36.52件でやっぱりダントツの第1位。2004年までは北海道(札幌ラーメンとか函館ラーメン、旭川ラーメンとか有名だもんね)が第1位だったのですが、2005年以降山形がずっと第1位になっております。

でも、例えば札幌ラーメンとか博多ラーメンというとどういうラーメンか想像できると思いますが、第1位なのに「山形ラーメン」って言われても、想像つかないですよね?
そんな山形ラーメンとはどんなラーメンなのかを私なりに考えてみました。

山形ラーメンとは

IMG_6858「新横浜ラーメン博物館」に、元祖である「龍上海」が出店している事もあり、山形のご当地ラーメンとして「辛味噌ラーメン」と答える人がいるかも知れません。

辛味噌ラーメンは、煮干しなどの魚介類がきいた白味噌のスープに、もっちりとした太麺、そして唐辛子やにんにくなどが入った赤い「辛味噌」を好みによってとかして食べるというもの(写真は寒河江市 大盛り食堂の赤ラーメン)。


確かに札幌味噌ラーメンと同じぐらい歴史がある(龍上海webサイトより)そうですし、県内にも辛味噌ラーメンを出すお店が多くあります。体の芯からぽかぽかしてくるので特にこれからの時期美味しいですしね。ただ、これが山形ラーメンかというと、そうではないと思います。

DSC_2562山形のラーメンを考える上で、最も特徴的な事としてあげられるのは、なんと言っても「そば屋で中華そば(ラーメン)を出す」という事でしょう。

私は当たり前だと思っていたのですが、他県から来た友人は「山形のそば屋さんってどこ行ってもラーメンがメニューにあるのな」って驚かれました。どうやら他県では、そば屋さんにはそばしか無いのが普通であり、あってもうどんとかきしめんというのです。私なんて、中華そばしか食べた事のないそば屋さんがたくさんあるというのに。


人が来ると店屋物をとってごちそうしたり、あるいは仕事中会社に出前を頼んだりする時も多々あると思うのですが、そういう時ってそば屋さんとか近くの食堂に注文すると思うんです。

山形の場合、そういったそば屋さんや近くの食堂のメニューに必ずあるのが「中華そば」(写真は寒河江市 佐平治食堂の中華そば)です。
だから山形県人はおもてなしに中華そば、仕事の合間に中華そば、おじいちゃんやおばあちゃんちに遊びに行って中華そばと、非常に多く「中華そば」を食べております。

醤油ベースのスープに細〜中太麺、具はチャーシューにメンマ、なると、ネギという、特徴はどこと聞かれるとちょっと他との違いを明確にするのが難しいこの昔ながらの中華そばこそが、山形ラーメンと言えるのではと思います。

山形のご当地ラーメンとして有名な米沢ラーメンや酒田ラーメンを出す有名なお店はやっぱりおそば屋さんという場合も多く、やっぱりこの「中華そば」スタイルです。
もちろんながら現在の山形にはたくさんのラーメン専門店があります。また全国的に流行している味の濃い、旨みの濃いラーメンのお店やメニューもたくさんあり、それらも人気です。
しかしながら山形らしいラーメン、県外に出ている方が帰省した時に食べたくなるのは、「らしい」と言う表現が難しいけれども、この「中華そば」なのではないでしょうか?

ラーメンはお店によって千差万別、食べる人によって好みは十人十色。

DSC_2639私が以前タウン情報誌で働いていた時「美味しいお店を教えて」とよく聞かれました。その中で最も難しい質問が「一番美味しいラーメンを教えて」です。
例えば美味しい天ぷらと言えば、ネタの新鮮さと揚げる時のタイミングとか、ポイントはいくつかに限られており、私にとっても聞いてくれた人にとっても、だいたい同じような価値基準になると思うんです。

しかしながらラーメンに関して言うと、お店によって千差万別、食べる人によって好みは十人十色。これほど人にお勧めするのが難しいメニューはありません。

なぜ人によってそんなに評価が分かれるのか?好みが違うのか?

私は「小さい頃から食べ慣れた味が、その人にとって美味しいラーメンと感じる」ためではないかと思っています。小さい頃から親が連れて行ってくれたお店、おじいちゃんおばあちゃんのうちに遊びに行くと必ず出前を取ってくれたお店。それがその人の好みとして出来上がっていくのではないかと。

私が小さい頃、おじいちゃんおばあちゃんのうちに遊びに行くと必ず出前を取ってくれたのが、寒河江市の皿谷食堂の中華そば(写真)でした。また両親と食べに行くのもこのお店でした。そんな訳で私のラーメンの基準として真ん中にあるのがこの一杯です。

皆さんはふっとした時に食べたくなるのはどこの1杯ですか?

帰省したら食べたくなるのはどこの1杯ですか?

それがたぶん山形ラーメンなんだと思います。

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