本日まで受講していた「人口減少を前提としたこれからの自治体経営」。
最終講義は「人口減が地方を強くする」(同名タイトルの書籍も執筆されている方が講師)でした。
寒河江市議会では視察・研修のレポートは全て公開しており、どなた様も閲覧することができます。
本日の研修でのメモ書きを掲載します。なお今回の研修全てのレポートは寒河江市議会のページに後日アップされますので、今回以外の部分についてはそちらをご確認下さい。
○人手不足について
人手不足というが、人は減ったが労働者の数は多少なりとも増えている。しかし企業は人手不足と言っている。これは「今までと同じ状況で働いてくれる人」が不足しているということ。
大手→賃金を高くする
中小→賃金を上げることはできないが、休日日数を大手並みにしただけで応募者が増えた。
・・・以前の賃金、以前の労働条件で働いていくれる人が不足している。
これからが本格的な人手不足になる。
今いる若者に配慮(子育てしやすい環境・所得の高い仕事を増やす)していかなければならない。
極端に言えば、これから仕事を増やす必要はない。人は減っていくので今の仕事のままで生産性を上げることだけを考えればいい。人材の有効活用が鍵。
○人口減少時代の都市のあり方
コンパクトシティの方向性は間違っていないが、果たして人口密度は高くなければダメなのか?
サービス産業は距離が短いと成長する(2001年と2010年では人口密度はほとんど変わらないのに伸びている)。
ICTとAIの導入により、距離の壁は急速に低くなる(例 自動配送→東京は隣近所が近いためほとんどメリットなし。地方ほどメリットがある)
介護なども効率化を図るべき。効率化というと「人と人とのつきあいが重要」と言われるが、介護の仕事の15%は車椅子を押す仕事。それは人である必要があるのか?ベッドから起こして診察室に運ぶ仕事が人である必要があるのか?
単純だが負担が大きい業務で、本来の「人と人とのつきあい」の部分が疎かになっている。
○地方を持続可能にする3つのネットワーク
道路インフラとともにデジタル化の恩恵を受ける。
・道路ネットワーク
・物流ネットワーク
・高速インターネット
→人を都市や集落に縛らなくなっており(散居が可能)、運転ができるデジタル強者が自由に住居を定めている。都市発展の一形態(開発自由のわが国では当然の帰結)。
○範囲の経済と民間の力
これまでは規模の経済だったが、これからは「範囲の経済」。
なぜ民間の力が必要か:スピード感、技術革新、雇用調整の容易性、国内自治体の半数に過疎集落が存在。
○人口減・人口密度低下を前提に地域を考える
・都市と地方の人口問題:東京悪玉説からの脱却。人口問題を広域で考える。生産性向上。
・中山間地域の経済:範囲の経済で効率化。民間の力。
・コンパクトシティ:広域の視点で立地適正化。代替案で持続可能な地域。3つのネットワーク、民間の力。