新聞や大学HP等で報じられており、昨日もとある方がFacebookにて書いていたので、第一期生である私もこのことについて改めてブログに書いてみたいと思う。
私はこの件の問題は(少し乱暴かも知れませんが、経緯やそれによるメリットなどは後ほど書きますので)「山形県(県民の税金)と山形市(山形市民の税金)で作った大学が、京都に本社を置く企業(学校法人)の支社になる」ということだと思うんです。

まずは6/16のプレスリリース(これがかなり唐突だったので、大変残念に思います。政治に対する不満と同じく、密室で決められたにおいがするんですが)。
「学校法人東北芸術工科大学と学校法人瓜生山学園 法人統合へ向けて協議することで合意 芸術系大学としては国内最大規模の在学生を擁する学校法人に」
東北芸術工科大学(山形市上桜田/学長:根岸吉太郎)を運営する学校法人東北芸術工科大学と、京都造形芸術大学(京都市左京区/学長:千住博)を運営する学校法人瓜生山学園は、2012年4月1日の法人統合に向けて協議を進めることで合意、学校法人東北芸術工科大学は6月13日の理事会で、学校法人瓜生山学園は6月14日の理事会で承認されました。今後両法人は、法人統合協議会を設置して統合に向けての協議に入ります。
東北芸術工科大学と京都造形芸術大学は、これまで20年間姉妹校として密接な連携を取ながら『藝術立国』を共通の志に、2003年には韓国事務所を、2006年には東アジア芸術文化研究所を、そして2010年には東京に外苑キャンパスを共同で開設するなど共に歩んで参りました。今後、更なる連携を模索している場面でおりましたが、今回東日本大震災という日本の国難が生じ、学生募集が好調である今、より磐石な体制で東北および日本の再生に寄与するべく、今回の統合を協議するにいたりました。
なお、今回の統合は、両校の学部学科や教員組織をこれまで通り維持しつつ、更なる連帯ができる体制を整えることを目指すもので、統合後の法人名称も、両校が提唱する理念『藝術立国』に由来する「学校法人藝術学舎」に改称した上で再スタートする予定です。
また、今回の法人統合が実現した場合、結果として在学生数10,871人(うち通信教育生5,495人)、帰属収入112億8,479万円となり、芸術単科の大学法人としては、国内で1,2を争う規模となります。(ここまで)

続いて、1990年8月28日に行われた東北経済連山形地域懇談会講演録より。
講演者は瓜生山学園理事長で東北芸術工科大学副理事長予定者の徳山詳直氏。
 ずいぶん前から知事さんや(山形)市長さんをはじめとして山形に大学をという話はあったようです。「山形に学校を誘致したい。あなたのところはどうだろうか?」と山形市の助役をしておられた方が京都へ参りました。私は地方自治体が地方活性化のために大学を誘致しようと言う動きだと思っており、いわば工場誘致と同じレベルで大学を誘致するなどと言うことはばかげていると真剣に思っておりますし今もそう思っておいるので耳を傾けませんでした。
 ところがこの方はなかなか誠実な方で忍耐強く何度も足を運ばれ、私のこれからの大学はこうあらねばならないという拙い意見にじっと耳を傾けて下さいました。「そういうことなら面白い。本気で取り組んでみるから協力してくれないか」と言う話をされてから、山形市長さん、県の副知事さんが何度も何度も京都にこられました。
 その後私の山形通いが始まり、今日で50回目です。山形の隅々まで足を運びました。
 (中略)この大学は山形市が船体を作りました。そして立派な船体はできたけれども強力なエンジンが欲しいという願いが件に届き、県が凄い馬力のエンジンを取り付けました。
 しかし非常に大事なことはこの船体を作ったのは市の人達。エンジンを取り付けたのは県の人達。しかしこの船主はあくまでも県民です。私はここのところをもし忘れるようなことがあったら、この大学は駄目になると思っております。永遠にこの大学は、県民の夢と希望を託した大学であり、巨大な船でなければいけない。この大学を作った資金は、全て県民と市民の一人ひとりの血税の結集でございます。したがって市長さんも知事さんもご苦労をされましたけれども、私はどうしても忘れてはならないのは、県民のための大学である、と言うことです。県民の汗と涙の結晶で出来上がる大学であると言うことを、永久にこの大学に刻み込んでおきたい、そうあって欲しいと皆さんにお願いしたいと思っております。(ここまで)

東北芸術工科大学は、山形県と山形市が出資した「公設民営」の私立大学です。
そして上記の話からわかるように、ハードは県と市が立てて、ソフトは京都造形大学を運営している学校法人瓜生山学園にお願いをしたという構図のようです(初めて知りましたけどね)。
現在は学校法人東北芸術工科大学と学校法人瓜生山学園という二つの学校法人ではありますが、両校とも理事長がこの時講演をしている徳山詳直氏であることからもわかるように、運営となる母体は基本的にはもうすでに一緒と言うことだと思います。
そして来るべき少子化の時代に向け、経営基盤を盤石にしようという動きから合併する…というのはまあわかる話なんですが、さて、最近の話を思い出すと、旧県知事公舎を芸工大が買い取ったはなしがありました。
少なくても赤字でどうしようもない大学ならば、そんなことはできませんよね?と言うことは、経営難からの合併ではなさそうです。

さてその合併についてはこうなっております
■基本原則
この度の法人統合は、学校法人東北芸術工科大学が解散し学校法人瓜生山学園と合併し、法人の名称を「藝術学舎」に改めるものですが、双方の法人を統合して学校法人藝術学舎が新たに誕生するという「対等」の精神で合併を進めます。東北芸術工科大学の教育目的や教育課程の編成などに変更はありません。
…対等なんだと言うことはわかりました。しかし、よく見ると…
■統合の期日及び方法等
統合の期日:平成24年4月1日
統合の方法:学校法人東北芸術工科大学が平成24年3月31日に解散し、平成24年4月1日に学校法人瓜生山学園に合併しますが、同日付で、学校法人瓜生山学園は学校法人藝術学舎に名称を変更します。
…芸工大の法人が解散し、瓜生山学園が名称変更?それって、つまり、吸収なんじゃない?

ここだポイントだと思うんです。
両校が一緒になることにより、国内で1,2を争う規模となる学校になります。
本社は京都です。
じゃあ山形は京都の分校?学校法人なので税収などはどうなっているのかわからないのですが、県や市にはバックされるの?お金の問題だけではなく、合併したらただの私立大になり、講演で言ったような「県と市の血税を使った大学だ」って事を忘れてしまうんじゃないの?ここが一番重要ですよね。

県民や市民の血税が民間に合併して消える。
それも確かにあります。
しかし公設民営なので最初からそういう部分はあったと思います。
しかしながら「俺たち県民がみんなで作った大学なんだ」という気持ちまでもが消えてしまうような気がするのが、この件の一番大きな問題ではないのでしょうか?

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